加藤は慌ててパソコンをたたき、将来性を含め、フェアと思える金額をはじき出した。コーヒーブレークから戻ったルービンはその数字を見て言った。「OK、検討可能な金額だ。あとは彼女と話を進めてくれ」ルービンについてきた女性の役員がにっこりほほ笑んだ。それから目が回るほどの忙しさで4ヶ月が過ぎ、ついに会社の売却が決まった。その年の終わり、米国防省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催するヒト型ロボットの競技会で、米航空宇宙局(NASA)やMITのチームを抑え、シャフトはぶっちぎりの1位に輝いた。今、中西と浦田はグーグル・ロボティクスの一員として、日本で働いている。直属のボスはグーグル創業者のラリー・ペイジである。会社を売却して億万長者になった浦田がある日、ポツリと漏らした。「俺、税金を払いたくない」巨額の所得税を払わなければならないが、浦田はカネが惜しいわけではなかった。加藤が代弁する。「一番助けてほしい時に、日本は僕らを見捨てた。認めてくれたのはアメリカでした。なのになぜ、日本に税金を納めなくてはならないのか。ましてや、その税金が僕らを全面否定して産業革新機構を通じて、経営に失敗した大企業の救済に投じられる・・・。やるせないですよ」

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