坂根氏は「なぜ地方を重視するのか」という問いに対して、「その本質的な動機は、この国の深刻な少子化問題を解決したいという思いにある」と明かしています。コマツは1950年代に石川から東京に本社を移し、工場も輸出に有利な関東・関西に移していますが、多くの地方企業がそういう歴史を辿ったことによって、東京への過度な一極集中とそれに伴う少子化を加速させてきたという事実を直視し改めなければならないというのです。
 現に、コマツの本社機能の地方への分散は、少子化対策としてはっきりとした数字を残しています。同社の30歳以上の女性社員のデータを取ると、東京本社の結婚率が50%であるのに対して石川が80%、結婚した女性社員の子供の数が東京は0.9人であるのに対して石川は1.9人と、掛け合わせると子供の数に3.4倍もの開きが出ているのです(東京0.5×0.9=0.45:石川0.8×1.9=1.52 ⇒ 1.52÷0.45=3.37)。石川は物価が東京よりもずっと安いし、子育てもしやすい環境にあるので、これは当然の結果といえるでしょう。
 坂根氏は地方回帰を進めてきた効果について、「女性従業員の出生率が飛躍的に上がった」だけでなく、「従業員の生活が豊かになった」「退職者の健康寿命が延びた」などと語り、さらに「代表的な地方出身企業であるコマツが率先して地方への回帰で成功を収めれば、いずれは他の大企業も次々と回帰の道を辿ってくれるのではないか」という期待も述べています。

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