テレビは大画面で高価になるほど市場を狭めていくだろう。ソフトウエア開発のコストが高騰するハイエンドゲームコンソールは厳しいビジネスになるだろう。PS/3が搭載したCellは特殊なアーキテクチャでソフトウエア開発が難しく、いかに性能が優れていても半導体として外販して成功することは難しいだろう。いずれも、教科書的な「イノベーションのジレンマ」そのものです。

一つの解決策としては、「そこそこ」の品質でより低価格なデジタル家電製品も併売して市場を確保しつつ、オンラインサービスで付加価値を提供することや、システムソフトウエアのアップデートで継続的に価値を高めていくことで顧客をつなぎとめる施策が考えられます。デジタル家電の価値を高めるには「サービス化」が最も重要といえます。そのお手本も当時すでにありました。iPodとiTunes Storeはこの時点で成功していたのです(やがて、iPhoneでさらに大きな成功を収める訳ですが、サービス化のモデル事例はすでに存在していた訳です)。

が、当時の職場ではそういう「後ろ向き」な話は周囲にまったく通じませんでした。大画面テレビでは外国勢が日本のメーカーに敵うはずがない、なぜならディスプレイデバイスの技術、画像処理の技術のノウハウの蓄積が全然違う、と思われていました。Cellの技術記事は読者に非常に人気があり、誌面では「これだけ半導体ががんばって性能を出せるようにしたのだから、ソフト開発者もがんばって付いてきて欲しい」という論調がまかり通っていました。

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