よく、「鉄腕アトムが非常に安い金額で制作を請け負ったことが現在のアニメ業界の低賃金など過酷な状況を生んだ」と批判されることがあるが、手塚治虫はその一方でお菓子メーカーなどとキャラクター利用契約を積極的に結び、そこからの収入によって当時の虫プロは潤っていたことを取材によって明らかにしているのだ。

 そんな歴史的な背景を持つ商品化を、先ほどの『コンテンツ学』では「グッドウィルモデル」として紹介している。グッドウィルとは顧客吸引力や営業上の信用を表わし、その力を活用して、ライセンス事業を行ない、事業の収益拡大を図るとしている。

 つまり、先ほど挙げた映像のウィンドウ展開によって、作品に対するグッドウィルを高め、映像と商品の両方から収益の最大化を目指す、というのが、アニメをはじめとする映像ビジネスの基本モデルとなる。そして、この分野もネットの浸透によって変化にさらされているのは同じだ。

 アニメ「ブラック★ロックシューター」はイラストから始まり、初音ミクを用いた楽曲とそのPV、フィギュア化という展開を経て、ドワンゴも出資する株式会社AG-ONEによって映像化された作品だ。AG-ONEにはフィギュアの商品化を展開するグッドスマイルカンパニーも資本参加している。テレビで一切放送していないにも関わらず、DVD・Blu-rayの予約受注は好調だという。

 これまでグッドウィルモデルは、映像が先に公開され、そこからキャラクター商品の販売によって費用を回収していくというのが通例だった。ブラック★ロックシューターはその展開パターンを転換した事例だ。注目しておきたい。

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